道から見える小さなわさび田──「見える復興」を始める理由
静寂の森で、石と水に向き合う日々。 失われゆくわさび田を、 現代の「生きた遺産」として蘇らせていきます。
かつて、奥多摩のわさびは江戸の食を支え、
粋な味覚として珍重されていました。
時代の早さに置き去りにされ、
奥多摩の深い森で静かに眠りについたわさび田。
苔むした石垣。
埋もれた水路。
そこには、急峻な山々を治め、清流を手懐け、
自然と共生してきた先人たちの「叡智」が、
時を超えて今も息づいています。
その止まった時間を動かすこと、
目指すのは、単なる農地の復旧ではありません。
崩れかけた石を一つひとつ積み直し、
詰まった水脈に再び命を通すこと。
それは、荒ぶる気候変動に立ち向かい、山から海へと続く
「流域の健康」そのものを取り戻すことです。
もともと、わさび田に「肥料」という概念はありません。
必要なのは、森の養分と、岩清水だけ。
その潔いまでの自然の理を、私は信じます。
泥にまみれ、手作業で生態系を守り抜くこの営みは、
ただの回顧ではない。
わさびという生命を通じて
次の100年、この地で生きる人々が胸を張れる
伝統をつなぐ静かで熱い挑戦です。
伝統的知恵を、現代の再生へ。
奥多摩の源流から、わさびと生きる未来を創りだします。
道から見える小さなわさび田──「見える復興」を始める理由
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プロフィール
中学生の頃、奥多摩の水根沢林道を歩いていた時に突然現れたわさび田の風景に心を奪われました。
山々の中に広がる緑の階段、清涼な沢水の音――その光景は30年経った今も鮮明に残っています。
現在は奥多摩で山岳救助等の仕事に従事しながら、失われゆくわさび田の復活に取り組んでいます。
担い手の高齢化、獣害、台風被害など多くの困難を乗り越え、先人たちの技術と知恵を受け継ぎながら、広葉樹の森と湧き水に恵まれた地でわさび田の開墾を続けています。
【お店のご紹介】
府中で60年続く銘店です。私たちが育てた奥多摩ワサビを使っていただいています。
現地での作業参加、取材・メディア連携、企業協賛など、
さまざまな形でのご協力をお待ちしています。