奥多摩の湧水とわさび

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本わさびの分類

日本原産である「本わさび」は古くから渓流などの流水中に自生していました。本わさびは栽培方法により沢わさび(水わさび)と畑わさび(陸わさび) に区分されます。

岩手県岩泉の林間で栽培される畑ワサビ

沢わさびは、渓流・湧水を利用して人工的に築田した「わさび田」で栽培され、わさびになるまでに約2年を要します。この長い耕作期間こそが わさびが作付面積あたりの販売価格として最も高い値段を維持していると考えられます。

奥多摩川苔山で栽培される地沢式の沢わさび

「2019 年度特用林産基礎資料農林水産省」によれば、沢わさびの生産量は全国で約 1,251 トン、都道府県別では上位より長野県 780 トン(62.4%)、静岡県 355 トン(28.4%)、東京都は 33 トン(2.6%)でした。

沢わさびの生育環境

沢わさびは涼しい場所と酸素を含む清澄な水が豊富にある環境で育ちます。

次の写真のように,奥多摩では,標高 500〜1,150m にある自然の沢に「地沢式」という独特の方法で石垣を積み砂利を敷き詰めて栽培しています。沢の水を自然流下させるため水質以外にも泥や枯葉の除去など維持管理が必要です。

また農作物としてはとても弱い植物です。高温や直射日光に弱いため日の当たる場所でも枯れてしまいますし、水が滞ると自身で出す毒素で枯れてしまうという特性があります。

わさび田の築田様式

奥多摩ではほとんどの場所で上記の赤ラインで囲った「地沢式」でわさびが栽培されています。理由としては険しく急峻な地形を流れる沢水を利用してわさび田を作っているからです。

私は「地沢式」「畳石式」の両方でわさび栽培を行っています。
(限られた沢水を利用する地形では地沢式、湧水が多い場所では畳石式でそれぞれわさびを栽培しています。)

廃耕田となった湧水を利用した畳石式のわさび田(復興中)

わさびの好む気温と水温

伝説と言われている書物「奥多摩のわさび栽培法」(金子元一1990)によれば奥多摩で沢水を利用してわさびを栽培する場合の主な条件は厳しい条件があります。

気温は通年で8〜18°Cであり、流れる水温は通年 6〜15°Cという冷涼な気候であることです。
16°C以上ではわさびが生育するには酸素量が不足するとのことでこの気温を上回るとワサビは枯れてしまいます。
この気温はわさびが育成する場所の気温なので、冷たい湧水が沸いている場所では、気温が20度後半に上がってもわさびの周りだけは涼しければ育成することができます。
気温が日々上がり続ける昨今では、湧水でわさびを育てる事は必須だと考えられます。

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この記事を書いた人

◆ MA-SAN
1978年製山岳仕様。登山歴25年。
中学生の頃から奥多摩に通う奥多摩好き。
本業はヤマデハタラクヒト(rescue & First Aid)

◆わさび栽培
中学生の頃見た「緑の階段」が忘れられず
興味を持っていたわさび栽培への道を模索。

2023年から奥多摩のわさび職人のもとで
本格的にわさび栽培に取り組み始める。

仕事の傍、多くの廃耕田を発見し、
2023年山歩きの途中で30年以上は
使われてないであろう理想のわさび田を発見。
山林を所有する町と契約し耕作を開始する。

2024年より奥多摩わさび組合に所属、
先輩方のもとで伝統的なわさび栽培を学ぶ。

◆きのこ栽培
わさび田の傍で奥多摩の清涼な空気と清流を利用した、
きのこ栽培にも取り組み中。

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